【プロが解説】歩き遍路に最適な靴とは?これがおすすめ!
1200㎞を歩くためにはどんな靴が良いのか?
身に付けるアイテムで最重要なのは靴
歩き遍路には色々なアイテムを用意する必要があります。その中でも最も重要なものは靴です。
何しろ1200㎞を歩くのですから足、脚を守るために一番重要です。このページでは遍路のための靴、靴下、インソールなどについてお話ししていきます。
ネットで参考になりそうなサイトやブログを見ると「ウォーキングシューズで歩きましょう」とか「山を歩くのでトレキッキングシューズが良い」などと書かれています。
本当はどうすれば良いのでしょうか?
実際に歩いた人の感想は重要ではありますが、彼らの多くは靴のプロではありません。
私は靴の販売、仕入、マネジメントに10年以上仕事で携わってきました。靴に関してはプロを自認しています。
他のアイテムはともかく、一番重要な靴に関してはプロの意見は聞いたほうが良いと思います。私ではなくても靴販売店のベテラン販売員やシューフィッターに同じことを聞いてみてください。きっと良いアドバイスがもらえるはずです。
履いて行く靴
さて前置きはさておき、実際どんな靴が良いのか結論を先に書いておきます。
- 軽登山用のハイキングシューズ
- 長距離用のウォーキングシューズ
このどちらかが良いでしょう。
両方に共通する点は、しっかりとしたゴムのアウトソールと防水性です。
アウトソールが柔らかいウォーキングシューズの方がクッション性があって歩きやすいのでは?という疑問を持つ人もいると思います。
一般的なウォーキングシューズは街歩き用です。イメージでは距離にして数㎞歩く感じです。お買い物や公園の散歩くらいです。この程度なら柔らかく衝撃を吸収する靴の方が足への負担は少なくて済みます。
一方で長距離を歩く場合は一般的なウォーキングシューズでは足に余計な負担がかかります。
足は蹴り出す時に少なからず「く」の字になりますよね?この時アウトソールが柔らかいと足裏が何度も大きく「く」の字に屈曲を続けることになり、足裏を痛める原因になります。
また、道路の異物、山道なら岩や木片などがそのまま足裏に感じられてしまいます。
そこで、長距離を歩く場合はアウトソールはある程度硬めのものを選ぶ必要が出てきます。
硬めのソールであれば「く」の字の角度も小さくなり、またソールが硬いので蹴り出す時にソールが元の形に戻りやすく、足裏への負担を軽減します。靴底の減りも緩やかです。
こういった硬めのアウトソールは上記の軽登山用のハイキングシューズまたは長距離用のウォーキングシューズが該当します。
山に登り続けるわけではないので、ミッドカットやハイカットの本格的なトレッキングシューズは必要ないでしょう。ローカットの動きやすい靴で良いです。
軽登山用のハイキングシューズは各社で出していますので、靴店や登山道具店で相談してみると良いと思いますが、例えばこんな感じの靴です。
長距離用のウォーキングシューズはミズノやムーンスターなどで出しているものを多くの人が利用しています。こんな感じの靴です。
一般的なウォーキングシューズやスニーカーはソールは軽量なウレタンやEVAというスポンジ製で、底が減ってとても1200㎞は保たないです。
そういう意味でもアウトソールがしっかりした合成ゴム製の靴は重要になります。
しっかりしたアウトソールは重いというイメージがあるかもしれませんが、長距離を歩く場合はある程度の重さが歩くときの振り子のような役割もします。これが足の疲れを軽減するメリットもあります。
また、雨の日もあると思いますが、こういった靴には防水性が備わっています。ゴアテックス、またはそれに準じる素材が使われていますので、安心です。
他の選択肢
なお、私が推薦するこういった靴はデザイン性はやや乏しく、もっと明るくてかっこいい靴をどうしても履きたいという場合は、長距離用のランニングシューズが良いでしょう。
あくまで長距離用です(マラソンランナーが使うようなもの)。人間は走って着地する瞬間、体重の数倍の力が踵にかかります。なので長距離用のランニングシューズの場合は軽量ながら踵部分はかなり硬めになっているものが多く、また踵が靴の中でブレないよう踵を固定するようなインソールを使っています。
ただし防水性はないものがほとんどで(雨の日にランニングする人はいないから)、足全体を保護する力はやや劣ると思われますし、靴底の減りも早いでしょう。
なので強く推薦はしませんが、一般的なウォーキングシューズやスニーカーよりは良いです。靴販売店ではどれが長距離用のランニングシューズかわからないと思うので店員に聞いてみてください。
もう一つの選択肢はトレイルランニングシューズです。本来舗装されていない山道を走るためのシューズで、軽量ながらアウトソールはしっかりとしたグリップ力があるのが特徴です。靴底の減りもランニングシューズよりは耐久性があります。
これも本格的な上級者向けや初心者向けのものなど様々な種類があります。お遍路で履くのなら舗装路も対応するようなものが良いです。専門店で聞いてみましょう。
デメリットはこちらも防水性はないものが多いです(防水のものもあります)。雨に濡れた場合は靴の中もびしょ濡れになるのは覚悟。ただし速乾性は高いので雨が止めば比較的早く乾きます。
また、デザインもいろいろあるので選ぶ楽しみはありますが、アッパーはメッシュ素材のものが多いので足を守る力はランニングシューズ同様に劣ります。
ランニングシューズやトレイルランニングシューズは、おすすめはしませんが、上記のメリットとデメリットを把握した上で、検討すると良いでしょう。
インソール
次にインソールの話です。上記の靴を買って何度か試し履きして特に問題を感じなければそのままのインソールで良いと思いますが、少し疲れる感じがある、元々足には不安がある、という方は反発力とクッション性があるインソールに代えた方が良いでしょう。
また厚めの靴下を履き、いつもより大きめのサイズの靴を履く場合のサイズ調節にもインソールは使った方が良い場合もあります。
有名なものだとソルボ。こんな感じの商品です。
ソルボのインソールに代えて、試し履きをしてみてください。衝撃吸収と反発力があるので足裏への負担は軽減されるはずです。
他メーカーの同様のインソールでも良いですが、人間の足裏は人それぞれで、例えば土踏まずの部分の位置が微妙に違う人、いわゆる扁平足の人など、ばらばらです。
各社で販売しているインソールは一般的な足裏の形状に合わせて作っているので、中には合わない場合もあります。値段が高いインソールだから必ずしも良いというものでもありません。合わない、違和感があると感じたら別のものに代えてみましょう。
靴下
靴下は足を守るために厚めのものが良く、またしっかりと蹴り出す力とマメ、水膨れなどのトラブルを防止するため、5本指靴下を推奨します。
そのため、場合にもよりますが靴は普段より0.5〜1.0㎝以上大きめのものを選んだ方が良い場合もあります。
また足のトラブルが心配な方はインナーソックスを履いてから上のような靴下を履きましょう。つまり靴下の2枚重ねです。
これにより足をしっかり守りますが、蒸れるというデメリットもあります。
靴はネットで買っても良いですが、必ず実店舗で試し履きしてからの方が良いです。靴下を履いた上でいつもより大きいサイズも含めて試し履きしましょう。
靴の履き方
靴を履く時は一旦紐を解き、足を入れたら、踵を床にトントンとして踵部分を固定してからしっかりと紐を結びます。
踵部分はしっかりと靴と密着、つま先部分は余裕がある状態になります。長く歩いたり、山登りをする時は時々同じことをして紐を結び直してください。
つま先が靴の先に当たるようでは最悪です。必ず踵をしっかりと固定する意識を持ってください。
また、休憩時は可能なら靴を脱ぎ、足を解放してあげてください。足の疲れを軽減し、蒸れも防止します。
あと良く勘違いしている人がいますが、「大きい靴を履く=足がどこもきつくないので楽=自分に合っている靴」という考えの人がいますが、これは間違いです。
これをやると足が必要以上に靴の中で動いてしまい、靴擦れやマメなどトラブルの原因になります。
逆にきつすぎてもダメです。歩いていてつま先が靴の先に当たるようでは長距離歩くと痛くなります。
フィッティングの際は踵部分をしっかり靴に付けた状態でつま先には0.5〜1.0cmの余裕があるくらいの状態を目安としましょう。足指が動かせるくらいが良いですね。
最後に
歩き遍路をするのにまだ心配がある人は上記以外に膝サポーターも用意すると良いかもしれません。
特に膝に不安がある方はサポーターがあるとサポーターが筋肉の役割をし、かなり楽になるそうです(私は使ったことないですが)。
お遍路さんにとって靴は最重要なアイテムだと思います。
お遍路さんではなくても、長距離歩くことが多い人にも参考になれば幸いです。例えばポケモンGOのトレーナーなど位置情報ゲームをする人や日常的に10㎞、20㎞といった長距離ウォーキングをする日本ウォーキング協会の会員の方など足の悩みはきっと多いはずです。
歩き遍路をする方は当然のことですが、履いていく予定の靴で家の近所を数㎞は何度か歩いて履き慣らしてください。
いきなり長距離を下ろしたての靴で歩くと慣れずにマメや水膨れができるなどトラブルが起きる可能性が高くなります。
ちなみに私はこの靴を履いて行こうと思っています。Sirioの軽登山用のハイキングシューズです。
日本人向けの幅広なので私の足に合い、アウトソールはしっかりしている割には軽めで防水性もあります。現実にこれで大丈夫だったのかどうか、結願後に検証したいと思っています。
↓結願後に検証しました。一体靴はどうなってしまったのかチェック!
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「ポケモンGOトレーナーが挑戦する四国八十八ヶ所お遍路日記」
前編(徳島・高知編)、後編(愛媛・香川編)の2冊です。
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3冊目の遍路本を出版しました。この本は用語集でもなく、遍路の作法や基礎知識のガイドブックでもありません。意外と知らない歩き遍路のちょっとしたコツをまとめています。
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