お待たせしました、というほど待っている人はいないと思いますが、私のKindle小説本第4弾発売です。
今回は、初めての恋愛小説です。21万字(文庫本2冊分)の長編です。
結願の日、君を好きになる: 四国八十八ヶ所を歩いて見つけた、人生と恋の答え

私の四国八十八ヶ所小説シリーズはこれで4作目ですが、毎回ジャンルを変えています。
- 「孤独のリュック、希望の金剛杖」は私小説風。
- 「捨てきれぬ罪」はミステリー。
- 「同行、二十八度」は実話ベースのフィクション。
- 「結願の日、君を好きになる」は恋愛小説。
ジャンルを変えて、四国八十八ヶ所にはどんな話が合うのかを検証しています。
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新作はAmazonで買えるKindle電子書籍です。上記リンクからどうぞ。
「結願の日、君を好きになる」のあらすじ
主人公の東京に住む高橋恒一は、仕事を退職し、次の仕事が始まるまでの間に、祖父が残した写真にあった四国お遍路に行きます。
同じ時期、横浜から悩みを抱えた佐藤美咲も四国を訪れ、二人はお遍路中に出会います。
会ったり、会わなかったり、遍路宿で一緒になったり、離れたりしている内に、お互いを意識するようになった二人。
遍路が進むにつれ、二人の関係は徐々に変化していきます。
恋なんかするつもりのなかった二人ですが、歩けば歩くほど八十八番目の札所に近づき、別れの日も近づきます。それでも二人は歩き続けます。
恋愛小説には必ず恋敵(ライバル)が登場しますが、この本にはライバルはいません。
二人の関係の進化に注目しつつ、四国遍路のリアリティを感じてもらいたい本。
四国遍路に興味のない人でも楽しめますし、遍路経験者には、より臨場感を感じてもらえるはずです。
なお、過去3作も私が実際に見た、聞いた経験談を織り込ませていますが、今作は中でも最も多く私の遍路経験が生かされています。
従って、かなりお遍路のリアリティを感じてもらえるはずです。
21万字超(文庫本二冊分)の長編小説をぜひゆっくり読んでいただきたいです。
発売記念無料キャンペーン開催
今回も無料キャンペーン開催します。
2026年7月25日(土)16:00から48時間無料になります。
通常価格は480円。
上記無料期間を過ぎて、この記事をご覧になっている方で、無料で読みたい場合は、Kindle Unlimitedに加入すると、私の本を含め、Kindle電子書籍500万冊が無料で読めます。
980円/月ですが、最初の1ヶ月は無料。1ヶ月以内に解約すれば、実質0円です。
冒頭部分を紹介します
今回も冒頭部分のみご紹介します。なお、サンプルはもっと長い部分を無料で読めます。
第一章 最初の一歩
飛行機が高度を下げ始めると、窓の下に四国の輪郭が見えてきた。
海岸に沿って町が続き、その奥には幾重にも山が重なっている。
地図で眺めていた四国より、ずっと起伏が多いように見えた。
あの山々の間を歩くのだろうか。
そう思うと、胸の奥が落ち着かなくなった。
楽しみなのか、不安なのか、自分でもよく分からない。たぶん、その両方だった。
機体が滑走路へ降りる。小さな衝撃のあと、窓の外を空港の建物が流れていった。
徳島に着いた。
まだ何も始めていない。それでも、東京を出たときとは、何かが違っていた。
明日の朝、一番札所から歩き始める。
今の自分に分かっているのは、それだけだった。
八十八の札所を巡り、四国を一周する。
最後まで歩けるかどうかは分からない。
何日かかるのかも、地図の上で計算しただけだった。
先のことを考えても仕方がない。
まずは明日。
最初の一歩を踏み出すことだった。
到着ロビーへ出ると、旅行客や出迎えの人たちの声が重なっていた。
私は荷物受取所でザックを受け取り、肩へ背負った。
出発前に何度も重量を量ったザックだった。
家の体重計へ自分だけで乗り、次にザックを抱えて乗る。
その差を計算しては、荷物を一つ減らし、また量った。
それでも、背負うたびに重いと思う。
これを毎日背負って歩くのか。
肩ベルトを引き締めながら、少しだけ自信がなくなった。
空港の外へ出ると、湿り気を含んだ風が頬に触れた。
東京より暖かく感じる。
空が広く、その向こうに低い山並みが見えた。
空港からリムジンバスに乗り、徳島駅へ向かう。
窓の外を、見慣れない町並みが流れていった。
川を渡り、住宅地を通る。
徳島駅が近くなった道路脇には、ときどき白衣姿の人がいた。
手ぶらに近い人もいれば、菅笠をかぶり、金剛杖を持って歩いている人もいる。
あの人は、もう何日も歩いているのだろうか。
あるいは、今日が最初の日なのだろうか。
窓越しに見送るだけでは分からない。
明日からは、自分も道の向こう側に立つ。
バスに乗る人ではなく、歩いている人になる。
そのことが、まだ実感できなかった。
旅へ出ようと思ったのは、昨日今日のことではない。
きっかけは一つではなかった。
子どもの頃から、心のどこかに残っていたものがある。
何年も忘れていたはずなのに、時折、何かの拍子に思い出した。
けれど、それだけで仕事を休み、四国へ来られるわけではない。
今回、これまでの仕事を離れ、次へ進むまでに、まとまった時間ができた。
こんな機会は、もうないかもしれない。
そう思ったとき、行き先は自然に決まった。
四国だった。
*
バスが徳島駅前へ着く。
駅前のホテルへ入り、部屋でザックを下ろした。
肩から重さが消えた瞬間、身体が浮くように軽くなった。
空港からここまで、ほとんど歩いていない。
それなのに、早くも明日からのことが心配になる。
窓の外には駅前の通りが見えた。
車が行き交い、自転車の学生が信号を渡っている。ホテルの部屋から見れば、東京の町とそれほど違わない。
けれど、あの駅から明日の朝、板東駅へ向かう。
そこには一番札所がある。
旅が始まる前の夜だった。
夕食を済ませて部屋へ戻ると、ベッドの上へザックの中身を並べた。
白衣。
輪袈裟。
菅笠。
納経帳。
経本。
数珠。
納め札。
ろうそくと線香。
雨具。
タオル。
着替え。
行動食。
応急手当ての道具。
東京にいる間に何度も確認したものばかりだった。
それでも、何かを忘れているような気がした。
地図編を手に取る。
正式な書名は、『四国遍路ひとり歩き同行二人[地図編]』という。
歩き遍路をしようと決め、準備を始めた頃、多くの経験者が使っていることをインターネットで知った。
東京の一般書店では見つからず、ネットで注文した。
届いた本を初めて開いたときは、正直、少し戸惑った。
観光案内のような華やかな写真はほとんどない。
札所と遍路道、宿、休憩所、道を間違えやすい分岐など、歩くための情報が細かく並んでいた。
ページを開くたび、赤い線が四国の中を延びていく。
その一本一本を、自分の足でつなぐ。
東京の部屋で眺めていた頃には、どこか他人の旅のようだった。
今は、明日歩く道がそこに載っている。
板東駅。
一番札所・霊山寺。
二番札所・極楽寺。
その先へ続く赤い線。
私は指でゆっくりとなぞった。
さらにページをめくると、十二番札所・焼山寺が出てくる。
山の中を縫うように道が続き、途中にはいくつもの庵の名が記されていた。
歩き遍路最初の難所。
準備をしている間、何度その言葉を目にしただろう。
ネットで調べると、最初にして最大の難関と書いている人もいた。
まだ一番札所にも立っていないのに、焼山寺のページばかりが気になった。
本を閉じる。
今から心配しても仕方がない。
明日は一番札所から歩き始める。それだけを考えればいい。
白衣を畳み直し、輪袈裟と一緒にザックへ戻す。
菅笠は形が崩れないよう、壁際へ置いた。
金剛杖はまだない。
一番札所で求めるつもりだった。
東京でも買うことはできたが、歩き始める場所で手にしたかった。
その方が、自分の中で区切りになるような気がした。
ベッドへ入る。
灯りを消しても、なかなか眠れなかった。
会社へ行かなくていい朝は、もう何日か過ごしている。
けれど、明日は何もしなくていい朝ではない。
自分で決めた道を歩き始める朝だった。
これまでの仕事のことが、ふと頭へ浮かぶ。
最後に職場を出た日のこと。
返却した社員証。
持ち帰った私物。
空になった机の引き出し。
次の仕事は決まっている。
だから、すべてを投げ出して旅へ出たわけではない。
それでも、長くいた場所を離れたあとには、思っていた以上に大きな空白が残った。
その空白を埋めるために歩くのか。
何かを忘れるためなのか。
それとも、ずっと昔から残っていたものを確かめに来たのか。
答えは出なかった。
今はまだ、自分でもうまく言葉にできない。
窓の外を車が通り、カーテンの隙間を一瞬だけ光が流れた。
私は寝返りを打つ。
明日は早い。
そう言い聞かせて目を閉じた。
眠りに落ちる直前、子どもの頃に見た古い写真が浮かんだ。
白衣姿で立つ、一人の老人。
その背後にある寺の山門。
写真の中の人は笑っていなかった。
けれど、不思議と穏やかな顔をしていた。
その人が、どんな道を歩いたのか。
私は、まだほとんど知らなかった。
翌朝、目覚ましが鳴る前に目が覚めた。
カーテンを開けると、徳島の町はまだ薄い朝の光の中にあった。
顔を洗い、歩くための服へ着替える。
白衣はまだ着ない。
輪袈裟も菅笠も、ザックの中と手元にある。
あれらを身につけるのは、一番札所へ着いてからだ。
ホテルを出る前に、もう一度確認した。
財布。
スマートフォン。
地図編。
納経帳。
部屋の鍵をフロントへ返し、駅へ向かう。
朝の徳島駅には、通学する学生や仕事へ向かう人たちが集まり始めていた。
その中に、白衣姿のお遍路も何人かいる。
私はザックの肩紐を引き、ホームへ上がった。
板東方面へ向かう電車は、二両編成だった。
扉が開く。
窓際の席へ座り、膝の間にザックを置いた。
電車が動き始める。
徳島の町が少しずつ後ろへ流れていった。
今度こそ、本当に始まる。
胸の鼓動が、わずかに速くなった。
冒頭部分は主人公の高橋恒一が東京から徳島へ向かう場面です。
この後、霊山寺で佐藤美咲を見かける場面に続きます。
興味のある人はぜひゆっくり読んでみてください。サンプルだけでも相当長い部分が読めるので、下記からどうぞ。
「結願の日、君を好きになる」まとめ
主人公の高橋もヒロインの佐藤も、二人とも恋愛に積極的ではなく、かと言って超奥手というわけでもありません。
そんな二人が歩き続ける間に、少しずつ関係が変化する様子が見どころです。
ぜひ一度読んでみてください。
気に入ったら、一言でも、あるいは星評価だけでも良いのでレビューしてくれると励みになります。
よろしくお願いします。
さて、次回作ですが、今日から取りかかりますが、今回はまだ構想がありません。
決めてあるのはジャンルを変えること。
ジャンルの候補は今のところ、ホラー、SF、ファンタジーあたりです。
どのくらいの文字数になるのかも、全くわからないので、発売時期も未定ですが、8月中には出せるはず。
順調に進めば、早ければ7月末に出せるかもしれません。
発売時はまたこのブログでお知らせしますが、Amazonで作者の私をフォローしていただけると、自動で新発売のお知らせが届きます。
フォローお待ちしています。
最後に。私の他の本も読んでみたいという人がもし、いましたら、下記を参考にチェックしてみてください。よろしくお願いします。



















