四国八十八ヶ所を歩く!

ポケモンGOトレーナー遍路が歩く四国八十八ヶ所霊場巡礼の旅

「巡礼特区」四国八十八ヶ所を舞台にした近未来SFサスペンス小説

四国八十八ヶ所を舞台にした小説10作目になり、これで当初の目標である10冊をクリアしました。

 

記念すべき10冊目は私史上初のSF小説です。

 

「巡礼特区:四国八十八ヶ所、最後の空白地帯」

「巡礼特区」

 

すべてが監視される近未来日本が舞台。すべての国民の居場所が、常に把握されている時代。

 

四国遍路だけが体制から「消える」ことのできる唯一の場所だった。

 

多額の借金を抱え、弟の手術のための莫大な費用をも抱えた元遍路宿の女将・芽衣は、追われる青年を結願まで送り届ける裏の仕事を引き受ける。

 

追っ手との攻防と、自らの過去への対峙。歩くことでしか辿り着けない選択とは。

 

文字数約101,000字。文庫本1冊の文字数です。

 

無料キャンペーン開催

今回も出版記念無料キャンペーンを開催します。

 

期間は、2026年9月22日(火)16:00〜24日(木)16:00まで

 

上記期間はどなたでもご自由にダウンロード可能です。

 

Amazonのページを開いて価格が0円になっていることを確認してから、ダウンロードしてください。

 

通常価格は380円(税込)です。

 

Kindle Unlimited加入者はいつでも無料で読むことができます。

 

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冒頭の一部を紹介

実際のサンプルはこちらから読めます。

 

しかし、サンプルを開くのも面倒な人もいるので、サンプルの一部だけですが、紹介します。

 

第一部 徳島(発心の道場)―志を立てる

第一章

 

 のちに芽衣は、あの朝のことを何度も思い出すことになる。米屋の軽トラが土埃を巻き上げて去っていった、なんの変哲もない朝を。だがそのときはまだ、いつもと同じ、代わり映えのしない一日が始まっただけだった。

 

 午前五時、空はまだ藍色を捨てきれずにいた。橋詰屋の玄関先で、沢渡芽衣は竹箒を握り、敷石の上の霜を掃いていた。息を吐くたびに白い塊が生まれ、すぐに闇へ溶けて消える。冬の鳴門はこの時間、遍路道を歩く人影もまばらだ。

 

 箒の先が立てる乾いた音だけが、しばらく橋詰屋の周りを支配していた。三代続いたこの宿は、一番札所・霊山寺から徒歩十分ほどの場所に建っている。かつては発願の夜、緊張と昂揚を持て余した歩き遍路たちで玄関がひしめき合ったものだが、今は違う。芽衣が掃き終えた三和土には、誰の履物も並んでいない。

 

 壁には古びた木札が下がっている。「本日のお泊まり」――祖母の代からの慣習で、宿泊客の名を毛筆で記す板だ。今は白いままだった。乾いた墨の匂いさえ、もうこの板からはしない。

 

 通りの向こう、県道の分岐に立つ小さな建屋が、白々と明かりを灯している。「巡礼者確認所」。特区の入口を示すその建物は、朝の光の中では意外なほど簡素に見えた。中にいる係員の仕事は、遭難者の有無を確認することだけで、身元照会の権限はほとんどない。それでも、あの一線を越えた瞬間、歩く者たちの位置情報も、生体認証も、すべてが公式の記録から切り離される。橋詰屋は、その一線のちょうど手前に立っていた。俗世と空白のあいだの、最後の一軒。

 

 橋詰屋という名自体は、単純な由来だった。すぐ裏手を流れる用水路にかかる、欄干も傷んだ古い橋のたもとに建っていた、それだけのことだと祖父から聞いている。特区法などまだ影も形もなかった時代からの、ただの呼び名だ。それが今では、県道に境界線が引かれたことで、思いがけず意味を持ってしまった。橋のたもとの宿。渡ってしまえば、もう戻れない橋の。芽衣がその符合に気づいたのは、特区法が施行されてしばらく経ってからのことだった。

 

 板東駅の始発列車が、遠くで踏切の音を鳴らした。芽衣はその音を合図にするように箒を納屋にしまい、帳場に戻った。

 

    *    *    *

 

「今朝も空きっぱなしかね」

 

 台所から声がした。節子だった。芽衣の祖母の代から橋詰屋を手伝ってくれている、七十過ぎの女性だ。腰は多少曲がっているが、朝の支度をする手つきに迷いはない。

 

「二部屋、代参さんの荷物置き場に使ってます。宿泊は、ゼロです」

 

「あんたの父さんの頃は、二十人待たせることもあったのにねえ。玄関先に布団並べてさ、朝は握り飯を百個作ったもんだよ。今じゃ、握り飯どころか米を研ぐ回数も減った」

 

 節子は鍋をかき混ぜながら、独り言のように呟いた。芽衣は答えず、帳場の端末を立ち上げる。液晶の光が暗い部屋にぼんやりと広がった。

 

 画面には、県が発行する巡礼特区関連のニュースが自動で流れている。「特区保護区域、来年度予算で見直し議論――治安上の懸念、有識者会議」という見出しが一瞬映って消えた。芽衣はそれを最後まで読まずに、業務用の画面に切り替えた。

 

 特区法が縮小されるかもしれない、という話は、もう二年近く同じ調子で繰り返されている。縮小されれば、巡礼路の中でミチシルベの追跡が及ぶようになる。そうなれば、遍路そのものの意味が変わる。橋詰屋のような宿の存在意義も、消える。だが今のところは、噂止まりだ。噂が止まらないまま、客足だけが先に消えていく。それが芽衣にとっての現実だった。

 

「また同じニュースかい」

 

 節子が茶碗を並べながら覗き込む。

 

「ずっと同じですよ。決まらないまま、決まったふりだけが続いてる」

 

「決まったら決まったで、うちらみたいなとこは終わりだけどね」

 

 節子はそう言って、それ以上は続けなかった。何十年もこの土地で商売をしてきた人間には、言葉にしなくても分かることがある。

 

もう少し読みたい人は、下記のリンクからサンプルをどうぞ。無料です。

read.amazon.co.jp

 

よし、買って読んでやろうという方は下記からどうぞ。

 

 

「巡礼特区」まとめ

四国八十八ヶ所を舞台にした小説を10冊出版したので、当面四国八十八ヶ所が舞台の小説は出しません。

 

しばらく様子を見て、どのような小説が人気があるのかどうかを見極めていきたいと思っています。

 

それによって、今後どうしていくのかを考えます。

 

今のところ、「同行、二十八度」の人気が高く、また、私としても一番のお勧めでもあります。

 

一方で、私としてはお勧めでも、全くの人気のない本もあります。これは残念ですが、需要がないのかもしれません。

 

それなりに読んでいただけてはいますが、なかなかレビューを書いてくれる人がいません。

 

なかなか良かったよ、と思った人はレビューも書いてもらえると大変嬉しいですし、励みになります。よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

「歩き遍路は立ち止まる」殺人が起きないコージーミステリー

四国八十八ヶ所シリーズ第9作目となる本ができました。

 

「歩き遍路は立ち止まる」は、ミステリーですが、殺人事件は起きません。日常の小さな謎を解き明かしていく、一般に言うコージーミステリー、あるいはライトミステリーと呼ばれるジャンルの本。

 

歩き遍路は立ち止まる

歩き遍路は立ち止まる:菅笠の下の日常ミステリー

 

同一主人公による短編連作10話。およそ190,000文字。

 

ミステリーとはいえ、殺人事件は全く起きないので、シリアスな面はありません。ほのぼのとした日常、いや、ここでの日常はつまりお遍路で、お遍路中に遭遇した謎を主人公のハルと、徳島で知り合った徳さんが解き明かしていきます。

 

そんな、ほっこりとしたお話です。

 

 

 

 

無料キャンペーン開催

通常380円ですが、今回も発売記念無料キャンペーンを開催します。

 

2026年9月1日(火)16:00から48時間限定

 

多くのお遍路さんに読んでもらいたいですし、少しでもお遍路に興味があるのでしたら、ぜひお気軽にダウンロードしてみてください。

 

どなたでも遠慮なく。

 

そしてできれば、レビュー、あるいは星評価だけでも良いので、していただけると大変嬉しいです。

 

なお、Kindle Unlimited対象なので、加入者はいつでも無料で読めます。

 

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冒頭の一部(プロローグ)を紹介

 

ここでは、プロローグの部分だけ紹介します。

 

Kindleでのサンプルは全体の1/10くらい読めるので、サンプル(無料)だけでも、第一話の大部分を読めるはずです。

 

とりあえず、サンプルだけでも読んでみるか、と思った人は遠慮なくどうぞ。

 

プロローグ 東京発、自分探しの夜行バス

 

バスタ新宿の四階、乗り場の番号を示す電光掲示板が、夜だというのに真昼のような白さで瞬いていた。その光を見上げながら、ハルはリュックの肩紐をもう一度、意味もなく締め直す。

 

金曜の夜、九時半。周囲を行き交う人々は、誰もがどこかへ向かっていた。スーツケースを引く旅行客、スマホを片手に早口で誰かと待ち合わせ場所を確認するOL、缶チューハイの入ったコンビニ袋を提げた学生らしき集団。みんな、行き先がはっきりしている。けれどハルだけは、この人混みの中で、自分の足だけが地面から数センチ浮いているような、奇妙な浮遊感を覚えていた。

 

(みんな、ちゃんと「どこか」に向かってるんだな)

 

電光掲示板の文字は、よく見ると「徳島」の「島」の字の右下、ドットが一つだけ他より心なしか暗い。壊れかけているのか、それとも最初からこういう仕様なのか。誰も気にも留めないその一点に、ハルの目はどうしても吸い寄せられてしまう。

 

――ハルさんってさ、ほんと細かいよね。

 

前の会社の、元上司の声が唐突に耳の奥で再生される。皮肉というより、もはや呆れの色を隠しもしない口調だった。伝票の桁が一つずれているのを指摘したときも、発注書の日付の矛盾を見つけたときも、返ってくるのはねぎらいの言葉ではなく、あの微妙な苦笑いだった。「そこまで見なくていいから」「もっと大局を見て」――何度言われただろう。

 

自分では、悪いことをしているつもりは一度もなかった。むしろ、誰かが見落としたミスに気づくことは、会社のためになると信じていた。けれど気づけば、ハルの周りには「扱いにくい人」という透明な壁ができていて、ランチに誘われる回数も、雑談の輪に入れてもらえる頻度も、静かに、確実に減っていった。

 

有給休暇の消化期間、最後の出社日。誰にも見送られることなく、がらんとしたエレベーターホールで一人、ハルは自分がこの会社に――いや、この街に、そもそも必要とされていなかったのかもしれない、と思った。

 

新宿の空は、夜だというのに星の一つも見えない。かわりに、無数の看板のネオンが空を白く濁らせている。排気ガスと、どこかの店から漂う揚げ物の匂いが混じり合った生温い風が、ハルの前髪をわずかに揺らした。この街は、二十六年間ハルが暮らした場所のはずなのに、今夜だけはやけによそよそしく感じられる。

 

スマホの画面を、もう何度目かわからないくらい開く。検索履歴の一番上には、あの夜、投げやりな気持ちで打ち込んだ言葉が残っていた。

 

「四国遍路 自分探し 一人旅」

 

出てきたのは、あまりにもありきたりな旅行代理店の広告バナーだった。〈千二百キロの旅で、本当の自分に出会う〉。そんな、手垢のついたコピーに、まさか自分がこんなにあっさり釣られるとは思わなかった。体力になんて、まるで自信がない。学生時代の体育の授業さえ、まともに走り切った記憶がない。それでも、「誰も自分を知らない場所へ行きたい」という一心だけで、気づけば深夜、酔った勢いにも似た軽さで夜行バスのチケットを予約していた。

 

バス会社の窓口で発券された、たった一枚の紙切れ。〈東京・バスタ新宿発 徳島行き〉。それだけの文字が、ハルの人生の進路を、ほんの少しだけ捻じ曲げようとしている。

 

「徳島行き、まもなく改札を開始いたします」

 

アナウンスが響き、列の後ろの方に並んでいたハルは、他の乗客の荷物を無意識に観察してしまう。前の男性は、リュックのサイドポケットに折り畳み傘をきっちり同じ角度で二本挿していた。隣の女性のキャリーケースには、几帳面な字で「田中」と書かれたタグが、まっすぐ正面を向くように結び直されている。誰もが、自分なりのやり方で荷物と向き合っている。ハルはそれを見て、少しだけ息がしやすくなった気がした。

 

改札を抜け、案内された座席に腰を下ろす。三列独立シートの窓側。座面は思っていたよりも硬く、生地の合わせ目のステッチが、太腿の裏にかすかに食い込む感触があった。備え付けの読書灯のスイッチをそっと押してみると、豆電球ほどの頼りない光が灯る。

 

定刻通り、バスはゆっくりと発車した。窓の外を流れていく新宿の光が、次第に速度を上げ、やがて高速道路の高架へと吸い込まれていく。運転手のアナウンスが終わると同時に、車内の照明が落とされ、遮光カーテンの向こうに、東京の夜がゆっくりと遠ざかっていくのがわかった。

 

エンジンの低い振動が、シートの背もたれを通して背中に伝わってくる。規則正しい、けれどどこか眠りを誘うようなリズムだった。エアコンの冷気が首筋を撫で、ハルは思わず膝掛けを引き寄せる。窓ガラスに指先で軽く触れると、外の冷たさがそのままガラス越しに伝わってきて、ひやりとした感触が指先に残った。

 

カーテンの隙間から、高速道路の電光掲示板が流れていくのが見える。〈渋滞情報 順調〉。その素っ気ない文字が、今のハルには奇妙に頼もしく思えた。何もかもが順調に進んでいるとは到底思えない自分の人生の中で、せめてこのバスだけは、決められたルートを、決められた速度で、迷わず走ってくれている。

 

(明日から、本当に千二百キロも歩くんだ)

 

実感の湧かない数字を、頭の中で何度も転がしてみる。歩いたことのある一番遠い距離といえば、せいぜい隣駅までの散歩程度だ。そんな自分に、四国を一周するなんて距離が歩き通せるのだろうか。足の裏が痛くなって、三日で音を上げてしまうかもしれない。誰にも会わずに、一人きりで泣きながら引き返すことになるかもしれない。

 

不安のかたまりが、みぞおちのあたりでじわりと重さを増していく。それでも、ほんの小さな――本当に小さな灯りのような期待も、同じ場所に確かに息づいていた。歩いた先で、今の自分とは違う何かに、出会えるかもしれない。細かすぎると笑われた自分の目も、この旅ではもしかしたら、誰かの役に立つのかもしれない。

 

根拠なんてどこにもない。ただの、藁にもすがるような願いだ。それでもハルは、膝の上に抱えたリュックのショルダー部分を、まるで自分自身を抱きしめるようにぎゅっと握りしめた。

 

バスは休むことなく西へ、西へと夜の高速道路を走り続ける。車内のあちこちから、隣の乗客の寝息や、リクライニングを倒す小さな音が聞こえてくる。カーテンの隙間から漏れる外の光が、規則的な間隔でハルの瞼の裏を淡く照らしては消えていった。

 

次第に瞼が重くなり、ハルの意識は、エンジンの振動に溶けるようにして、浅い眠りの中へと沈んでいく。

 

明日、自分がどんな一歩を踏み出すことになるのか――それはまだ、誰も知らない。

 

(第一話へ続く)

 

ここでは横書きになっていますが、実際の本は縦書きです。

 

 

 

「歩き遍路は立ち止まる」まとめ

短編連作十話と言うスタイルは、「お梅女将の大暴走!」に続き2回目になります。

 

物語を少しずつ読めるので、このスタイルは気に入っています。

 

長編だと、どうしても疲れてしまったり、飽きてしまうこともありますが、このスタイルなら「寝る前に一話だけちょっと読んでみよう」なんて言うこともできます。

 

寝落ち前にぜひ読んでください。

 

私の他の四国八十八ヶ所関連の書籍は下記をチェックしてみてください。

 

shikoku88.hatenablog.jp

 

 

さて、次作はSFです。

 

当初は、ミステリーにする予定でしたが、プロットで行き詰まり変更しました。

 

初めてのSF。仮タイトルは「巡礼特区」。

 

内容の詳細は考え中ですが、四国八十八ヶ所+SFというのは、プロの作家の本でもあまりないジャンルです。

 

ある老舗遍路宿の女将を主人公とする予定。

 

その内、出しますので、お待ちください。

元刑事・新谷誠一郎シリーズ第二弾「引き潮の証言」

第一弾「捨てきれぬ罪」に続く第二弾ができました。

 

待望の第二弾!と言いたいところですが、第一弾はそれほど人気でも売れているわけでもないので、ひっそりと第二弾です。

 

引き潮の証言

引き潮の証言: 四国八十八ヶ所ミステリー第二弾、室戸岬に眠る罪

 

第一弾では徳島が舞台でしたが、今回の第二弾は高知が舞台。

 

最御崎寺へ向かう海沿いの長い道のりの途中で、新谷は田村と名乗る男と知り合いますが、ある朝、少し寄り道をすると言い残し、そして室戸の岩場で変わり果てた姿で発見されます。

 

単なる事故なのか?それとも?

 

無料キャンペーン開催

通常は280円ですが、下記の日程で無料キャンペーンを開催します。

 

2026年8月21日(金)16:00から48時間限定

 

すぐに読まなくても、いつか暇があったら読んでみよう程度でも良いので、少しでも気になったらぜひダウンロードしてみてください。

 

なお、Kindle Unlimited加入者はいつでも無料です。

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冒頭の一部を紹介

サンプル(無料)はもう少し長く読めるはずですが、ここでは、プロローグのみご紹介します。

 

プロローグ

 人を追う仕事を辞めても、体に染みついた癖までは辞められない。

 新谷誠一郎は、そのことを結願から半年が経った今も、思い知らされ続けていた。

 どこかで金木犀が咲いているらしい。窓を開けたときから、甘い匂いが部屋の隅々まで入り込んでいた。

 新谷は縁側の柱にもたれ、遍路バッグの中身を畳の上に並べていた。使い終えた地図、擦り切れた輪袈裟、御朱印を頂いた重い納経帳。結願してから一度も開けていない鞄だった。

 徳島の家に戻ってからの新谷の日々は、驚くほど静かだった。朝は決まった時間に起き、庭の手入れをし、近所の食堂で昼を済ませ、夕方には図書館に寄って新聞を読む。

 刑事だった三十五年間には考えられなかった規則正しさで、それが逆に落ち着かなかった。

 地獄耳は、退職しても衰えなかった。隣の家の夫婦喧嘩の声も、二軒先の犬が餌をねだる甲高い鳴き声も、望まなくても耳に入ってくる。だが、その耳が拾うべき何かは、もうどこにもなかった。

 靴を見る癖も同じだった。食堂で隣り合った客の靴底を、無意識に確かめてしまう。摩耗のパターンから、その人間がどんな歩き方をしているか、右足に重心を置く癖があるか、長距離を歩き慣れているか――そこまで読み取ってしまってから、新谷はいつも我に返る。読み取って、それがどうした。誰に報告するわけでもない。

 村井から電話がかかってきたのは、九月の終わりだった。

「先輩、元気にしてますか」

「変わらんよ」

「変わらないのが、心配なんですけどね」

 村井の声には、笑いを含みながらも、どこか探るような響きがあった。新谷は水筒の蓋を開け、すだちハニー水を一口飲んだ。頭の奥が、すっと静かになる感覚があった。

「捜査本部でも、たまに先輩の名前が出ますよ。あの靴の読み方は、あれは才能ですって、若いのが」

「才能じゃない。癖だ」

「同じことでしょう」

 村井はそれ以上、何も言わなかった。ただ、電話を切る前に一言だけ付け加えた。

「先輩、また歩くんでしょう」

 問いというより、確認だった。新谷は答えなかった。答えなくても、村井には分かっているようだった。

 電話を切ったあと、新谷は手帳を開いた。去年の秋、四十三日間の遍路道中に、久しぶりに書く癖を取り戻した手帳だった。結願までにもう一冊使い切り、今は次の一冊が、文机の上に置かれている。

 最後のページには、結願の日の記録がある。

「お疲れ様でした、と自分に言えた」――そう書いた覚えがある。

 その先のページは、まだ白かった。

 白いページを見ていると、新谷の中に、言葉にしにくい感覚が湧いてくる。誰かの荷物をもう一度、一緒に背負いたい。そんな感覚だった。

 刑事の性分だと言われればそれまでだが、それだけではない何かがある気がした。三十五年、他人の重荷を仕事として背負ってきた。仕事でなくなった今も、その重さを知らないままではいられない体になってしまったのかもしれない。

 新谷は文机の引き出しから、警察手帳の革カバーを取り出した。

 長年、内ポケットで体温を吸ってきた黒い革は、指で触れると、まだかすかに温かい気がする。定年の日、手帳本体は返上したが、このカバーだけは気づかぬうちにポケットに残っていた。以来、遍路バッグの底のポケットに入れ、お守り代わりにしている。

 触れると、落ち着く。何かを決める時、いつもそうだった。

 高知――という土地の名前が、新谷の頭の中で形をとりはじめたのは、いつからだったか。

 四国八十八ヶ所は、徳島だけで終わりではない。発心の道場の次には、修行の道場がある。距離が長く、札所と札所の間に何もない区間が続く。断崖と一本道の遍路道だと、結願前に何度か耳にした。

 もう一度、一番から歩き直す気にはなれなかった。結願は結願だ。あの四十三日間で得たものを、繰り返しなぞる必要はない。

 遍路には、全行程を一度に踏破する通し打ちのほかに、何日かに分けて歩く区切り打ちという回り方がある。

 その中でも、一つの県の札所だけをまとめて巡るやり方は「一国参り」と呼ばれ、遍路の間ではよく知られた習わしだった。徳島の発心の道場は、すでに打ち終えている上に、地元なので新鮮味がない。刑事時代に県内は行き尽くしている。

 ならば次は、高知の修行の道場だけを、一つの区切りとして回ればいい。全部をもう一度、一から歩き直す必要はなかった。

 地図を広げると、室戸岬の突端が、太平洋に向かって尖った形で突き出しているのが見えた。黒潮と反流がぶつかる海域だと、案内書には書いてあった。

 新谷は、しばらくその地図を見つめていた。

 行こう、と決めたのは、その夜だった。誰かに背中を押されたわけではない。半年間、静かすぎる日々を過ごした末に、自分の足で辿り着いた結論だった。

 翌朝、新谷は下駄箱から遍路用の靴を取り出した。徳島から高知、愛媛、香川と一周分を歩き通した靴は、かかとの外側が大きく削れ、ソールの厚みも半分近くまで減っている。歩き方の癖が、そのまま形になって残っていた。もう次の長丁場には耐えられない靴だった。

 その足で、新谷は靴屋に向かった。今度も遍路用に最適な、足首を包む型のものを選んだ。修行の道場と呼ばれる道には、断崖と一本道が続くと聞いている。履き慣れない靴で長距離を歩けば、靴擦れどころではすまないだろう。

 買った靴は、その日のうちに袋から出し、家の周りを何度も歩いて具合を確かめた。近所の川沿いの道を、行きつ戻りつする。爪先がきつくないか、かかとが浮かないか、靴紐の締め方一つで当たりが変わる。長距離を歩く前に、こうして体に覚え込ませておかなければ、思わぬところで靴擦れを作ることになる。三十五年、現場で学んだことの一つだった。急ぐ旅ではない。出発までの数日、少しずつ足に合わせていけばいい。

 靴紐を締め直しながら、新谷はふと、村井の言葉を思い出していた。

 ――先輩、また歩くんでしょう。

 その通りだった。誰かの重荷を、また一緒に背負うために。あるいは、自分自身の一人でいる癖を、もう一度確かめるために。

 新谷誠一郎、六十代半ば。元刑事。次の遍路道は、修行の道場から始まる。

 その道の先で、誰と出会い、何を見ることになるのか。このときの新谷は、まだ何も知らない。

(第一章へつづく) 

実際の電子書籍は縦書きです。

 

興味ある方はサンプルだけでも読んでみてください。

 

引き潮の証言まとめ

私の小説も8作目になりました。

 

次作はコージーミステリーです。ライトミステリーとも言うようですが、殺人事件のような事件は起きず、日常のちょっとした謎を解き明かすタイプのミステリーです。

 

もちろん四国が舞台。お遍路中に遭遇した謎を解き明かしていきます。

 

短編連作10話予定。四国を歩きながらの物語。なかなか面白そうな内容になりそうです。

 

四国八十八ヶ所関連の私の他の本は下記を参照してください。

 

shikoku88.hatenablog.jp

 

 

 

 

四国八十八ヶ所関連のKindle電子書籍著書一覧

徒歩通しでの遍路経験をベースにした四国八十八ヶ所/お遍路関連の電子書籍をAmazon Kindleで販売しています。

 

書籍もだんだん増えてきたので、ここでまとめておきます。

 

たまに無料キャンペーンを行いますが、時期は不定期。どうしてもお金をかけたくない人は、Kindle Unlimitedがおすすめ。

 

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最初の1ヶ月は無料体験できますので、下記の私の著書を含む500万冊が読み放題。1ヶ月以内に解約すれば無料です。ご検討ください。

 

〜〜目次〜〜

 

 

私の四国八十八ヶ所/お遍路関連書籍一覧

価格は変更される場合があります。全て税込です。

また文字数は目安です。

新刊をチェックしたいという奇特な人は、Amazonで私をフォローしてお待ちください。

私のおすすめ本はこのページの最下部にあります。

14.巡礼特区:四国八十八ヶ所、最後の空白地帯

巡礼特区

 

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価格:380円

文字数:100,000字

ジャンル:SF/サスペンス

内容:移動の自由が管理される近未来日本で、四国遍路だけが体制から一時的に"消える"ことのできる唯一の場所になっていた。借金を抱えた元遍路宿の女将・芽衣は、内部告発者の青年を送り届ける裏の仕事を引き受けるが、追っ手との静かな攻防と、自らの過去の裏切りへの対峙を通じて、金のためだけではない"選択"に辿り着いていく。

著者より:初のSF小説。記念すべき四国八十八ヶ所を舞台にした小説10作目。

サンプル:こちら

 

 

13.歩き遍路は立ち止まる:菅笠の下の日常ミステリー

歩き遍路は立ち止まる

 

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価格:380円

文字数:190,000字

ジャンル:コージーミステリー/ライトミステリー

内容:都会で疲れたOLが、四国遍路で「名探偵」になる連作ロード・ミステリー。シリアスすぎない、ほっこり系の日常の謎解き。殺人事件は起きません。四国を歩きながら遭遇する日常の小さな謎を解決していく。お遍路の作法・豆知識・グルメも満載、疑似遍路体験ができる一冊。連作短編十話。

著者より:お遍路のリアルも感じられる、ほのぼのとした明るいミステリー小説。

サンプル:こちら

 

 

12.引き潮の証言: 四国八十八ヶ所ミステリー第二弾、室戸岬に眠る罪

引き潮の証言

 

shikoku88.hatenablog.jp

 

価格:280円

文字数:32,000字

ジャンル:ミステリー小説

内容:新谷誠一郎シリーズ第二弾。定年退職した元刑事・新谷誠一郎が、四国遍路「修行の道場」高知で出会った道連れの男。彼はなぜ、室戸岬の岩場で命を落としたのか。二十八年前の海難事故に隠された真実に、新谷が迫る。

著者より:第一弾を未読でも問題なく、読めます。またしても、新谷の癖が謎を解き明かします。

サンプル:こちら

 

 

11.お梅女将の大暴走! 四国遍路宿の珍客お接待: 抱腹絶倒お接待事件簿・心も足も癒される遍路宿物語

お梅女将の大暴走! 四国遍路宿の珍客お接待

shikoku88.hatenablog.jp

価格:280円

文字数:105,000字

ジャンル:コメディ小説/ユーモア小説

内容:お梅女将シリーズ第一弾。様々なお遍路が宿泊する遍路宿「谷口屋」の女将であるお梅は、宿泊客の様子を見て早合点。とんでもないお接待を思いつきます。胃を痛めながらツッコミ続ける夫の善三と、振り回されながらも、なぜか少しずつ心がほどけていく客たち。くすっと笑えて、最後にはじんわり温かい。連作短編10話。

著者より:舞台が遍路宿というだけで、お遍路に興味がなくても楽しく読めます。

サンプル:こちら

 

 

10.結願の朝にあなたと: お遍路1200キロが繋いだ、別れたふたりの再生の恋 

結願の朝にあなたと

 

shikoku88.hatenablog.jp

価格:280円

文字数:63,000字

ジャンル:恋愛小説

内容:三年前、灯里と陸は、ある喪失をきっかけに別れた。 仕事の忙しさで、その別れから距離を取っていた灯里は、ある時、四国遍路に向かう。偶然か、必然か、そこで再会したのは陸。やがて一緒に歩き始めた二人だが、三年前に言えなかった言葉、背負ってきた後悔という壁が、存在した。

著者より:四国を歩きながらの二人の心情の変化に注目。恋愛小説第2弾。

サンプル:こちら

 

 

9.四国、八十九番目の札所: 同行二人、二人目は誰そ

四国、八十九番目の札所

shikoku88.hatenablog.jp

価格:280円

文字数:37,000字

ジャンル:ホラー小説

内容:絶対に夜に立ち入ってはいけない札所――八十九番。登録者十二万人の配信者・悠真は、再生数の伸び悩みを打開する起死回生のネタとして、ある都市伝説にたどり着く。同時に3年前に遍路中に消えた双子の兄の手がかりを探しに四国へ行く悠馬。配信という現代的なモチーフと、四国遍路という土着の信仰を掛け合わせた、書き下ろし因習ホラー。

著者より:長い歴史のある四国遍路には、実は色々な裏話があるのかもしれません。

サンプル:こちら

 

 

 

8.結願の日、君を好きになる: 四国八十八ヶ所を歩いて見つけた、人生と恋の答え

結願の日、君を好きになる

shikoku88.hatenablog.jp

価格:480円

文字数:210,000字

ジャンル:恋愛小説/純愛小説

内容:退職し、次の仕事が始まるまでの間に四国遍路に来た高橋恒一は、遍路中に佐藤美咲と知り合う。恋をするつもりなんてなかった二人だが、88ヶ所の限りがあるお遍路は、歩けば歩くほど別れの日が近づいてくる。結願の日に出した答え、そしてその後・・・。四国八十八ヶ所を舞台にしたライバルのいない純愛小説。

著者より:私のお遍路経験(恋愛経験ではない)が最も反映された一冊。文庫本2冊分の読み応え。少しずつ変化する二人の言動に注目してお読みください。

サンプル:こちら

 

 

 

7.同行、二十八度: 四国八十八ヶ所、罪を背負って歩いた男

同行、二十八度

shikoku88.hatenablog.jp

価格:380円

文字数:110,000字

ジャンル:セミフィクション/社会派小説/ヒューマンドラマ

内容:実在した幸月さんを主人公として描く「幸月事件」。実話をベースにしたフィクションです。舞台は四国八十八ヶ所。事件を起こし追われた幸月は四国に辿り着き、お遍路となり四国を歩き続ける中、起こった変化とは?衝撃のラストで物語が完結する。

著者より:私の一番の自信作。お遍路経験がある人にこそ、おすすめの一冊。

サンプル:こちら

 

 

 

6.捨てきれぬ罪: 四国八十八ヶ所、元刑事が解く遍路宿の密室

捨てきれぬ罪

shikoku88.hatenablog.jp

価格:280円

文字数:32,000字

ジャンル:ミステリー小説/ヒューマンドラマ

内容:新谷誠一郎シリーズ第1弾。お遍路に出た徳島県警元刑事新谷誠一郎は、遍路宿で事件に遭遇する。本格密室ミステリーと四国遍路の旅情を感じる旅情ミステリー。密室は、捜査を混乱させる意図より、そうしなければならない理由と、偶然訪れたチャンスが成せたものだった。

著者より:犯人を当てる内容ではなく、なぜそうしたのか?がポイント。

サンプル:こちら

 

 

 

5.孤独のリュック、希望の金剛杖: 妻を亡くした六十八歳男の四国お遍路一千二百キロ通し打ち

孤独のリュック、希望の金剛杖

shikoku88.hatenablog.jp

価格:280円

文字数:20,000字

ジャンル:私小説/ヒューマンドラマ/純文学

内容:退職し、子供は独立、妻は他界。生きる力を失っていた男は、生前妻と約束していたお遍路へ旅立つ。想像以上に過酷な道、しかし、ご当地のグルメやお接待が心を癒す。結願の果てに第二の人生は見つかるのか?喪失を抱える人、これからの人生に迷うすべての人に贈る、心の再生の物語。

著者より:同じような境遇の男はたくさんいると思います。一度四国を歩いてみてください。

サンプル:こちら

 

 

4.台北新四国八十八ヶ所霊場:残された石仏を訪ねて

台北新四国八十八ヶ所霊場

価格:980円(ペーパーバック2,980円)

文字数:55,000字

ジャンル:ノンフィクション/旅行記/台湾史/日本史

内容:日本統治時代の台湾で1925年に創設された写し四国霊場である台北新四国八十八ヶ所霊場。ご本尊の石仏を造り、台北市内各地を巡拝していました。戦後、日本人がいなくなると、自然消滅してしまいますが、88の石仏の内、半数近くが台北市内を中心に各地に現存。その残された石仏を訪れる旅。日本人が日本人のために、(当時の)日本で創設した写し霊場ですが、その存在は忘れ去られていました。

著者より:日本で唯一の台北新四国八十八ヶ所霊場に関する専門書籍です。学術的にも遍路研究の第一人者である愛媛大学中川准教授から非常に高い評価をいただき、愛媛大学図書館にも収蔵されています。旅行記のように書いており、台湾初心者にもわかりやすいアクセス方法付き。

サンプル:こちら

 

 

3.歩き遍路のための超実用的豆知識

歩き遍路のための超実用的豆知識

shikoku88.hatenablog.jp

価格:400円

文字数:23,000字

ジャンル:実用書

内容:この本は用語集でもなく、正しい遍路作法を教えるガイドブックでもありません。知らなくても何とかなるが、歩き遍路が知っておくとより快適に、より安全に歩けるための豆知識が詰まっています。ガイドブックには載っていない知識は知っておくだけで、大きな自信と安心をあなたにもたらします。

著者より:私の通し歩き遍路経験で得た、歩き遍路専用の豆知識です。

サンプル:こちら

 

 

2.ポケモンGOトレーナーが挑戦する四国八十八ヶ所お遍路日記(愛媛・香川編): 夫婦で四国八十八ヶ所通し打ちにチャレンジした記録

ポケモンGOトレーナーが挑戦する四国八十八ヶ所お遍路日記(愛媛・香川編)

shikoku88.hatenablog.jp

価格:480円

文字数:70,000字

ジャンル:旅行記/日記本

内容:「徳島・高知編」とこの「愛媛・香川編」合わせて14万字、写真1,100枚というボリューム。写真が多いので、文章だけの日記よりも、よりリアルさが伝わります。ただの旅日記ではなく、随所でお遍路の常識、豆知識、裏技、そしてグルメ情報や観光情報も含めていますので、これを読めば通し打ち歩き遍路の厳しさや苦労だけでなく、その楽しさも伝わると思います。

著者より:歩き遍路をする予定の人はぜひ一度読んで、ガイドブックだけでは伝わらないリアルを感じてください。

サンプル:こちら

 

 

1.ポケモンGOトレーナーが挑戦する四国八十八ヶ所お遍路日記(徳島・高知編): 夫婦で四国八十八ヶ所通し打ちにチャレンジした記録

ポケモンGOトレーナーが挑戦する四国八十八ヶ所お遍路日記(徳島・高知編)

価格:480円

文字数:70,000字

ジャンル:旅行記/日記本

内容:私が遍路中、毎日更新していたこのブログをまとめて、加筆修正した本の徳島・高知編です。歩き遍路のリアルがわかります。お遍路ガイドブックにならないよう札所の説明などは最低限。それよりも札所と札所の間の道、店、お接待などの様子がメインです。歩き遍路の苦労と楽しさがわかる本です。

著者より:その日、その日の日記なので、当時のリアルがわかります。

サンプル:こちら

 

 

私のKindle電子書籍まとめ

 

日記や実用書はともかく、小説を読んでみたいが、たくさんあってどれを読めば良いのかわからない人に、おすすめベスト3を。

  1. 同行、二十八度
  2. 結願の日、君を好きになる
  3. 歩き遍路は立ち止まる

今のところ、この三冊が特におすすめです。

 

1は、幸月事件という実話をベースにした小説で、知られている事実を私の想像で解釈・装飾した物語です。実話ベースのリアリティと物語としての起承転結を重視しました。今のところ、最も販売数が多く、最も読まれています。私の一番の自信作で、特にお遍路経験者に読んでほしい本です。

 

2は、私のお遍路経験の実話を多く含み、お遍路のリアルが味わえると同時に、恋をするつもりのない男女の出会い、そして、一緒に歩きながら、徐々に変化する二人の言動。しかし、結願が近づくと別れなければならない現実と向き合いつつ、結願後に二人はどうするのかというのがポイントです。ぜひお遍路経験のない人にこそ読んでほしい本です。女性にもおすすめ。

 

3は、歩きながら遭遇した謎を解決していくミステリー。同じ主人公が歩く10話の短編連作。単にミステリー好きな人でも楽しめますが、お遍路経験があると、謎解きしやすいかもしれません。読みやすい短編形式なので、お遍路経験者だけでなく、ミステリー好きな人にもおすすめです。

 

全ての私の本には、私の遍路経験が生きています。小説は物語の構成上、一部は現実と違う部分、誇張している部分はありますが、ほとんどの部分は全て現実に即していますので、小説とはいえリアリティを感じてもらえるのではないかと思います。

 

私の本を読めば、あなたはきっと四国を歩きたくなるはずです。一生に一度は歩いてみてください。

 

 

お遍路宿コメディ小説「お梅女将の大暴走!四国遍路宿の珍客お接待」

Kindle電子書籍の四国八十八ヶ所を舞台にした書籍七作目できました。

 

今回は初めてのコメディ小説です。

 

 

お梅女将の大暴走!四国遍路宿の珍客お接待

お梅女将の大暴走!四国遍路宿の珍客お接待

 

徳島県にある遍路宿「谷口屋」が舞台。

 

お遍路にはいろいろな人がいますし、お遍路をする理由も人それぞれ。

 

当然、遍路宿にもさまざまな人が泊まりにきます。

 

そんな十人十色のお遍路たちの悩みを解決するべく、お梅女将のお接待が始まりますが、早合点のお接待は、どうも勘違いで暴走気味。

 

クセのある宿泊者+暴走する女将さん+女将さんを止めようとするご主人のドタバタ劇。

 

そんな短編連作です。

 

1話1万文字が10編で、10万字超の本です。

 

10万字ってどのくらいなのかよくわからないかもしれませんが、文庫本一冊がちょうどこのくらいになります。

 

お買い求め、サンプル読みは下記からどうぞ。

 

お梅女将の大暴走! 四国遍路宿の珍客お接待: 抱腹絶倒お接待事件簿・心も足も癒される遍路宿物語

 

無料キャンペーン開催します

通常価格は380円ですが、発売記念のKindle無料キャンペーンが今回もあります。

 

2026年8月12日(水)16:00から48時間限定で無料になります。

 

無料なので、どなたでも、この機会にぜひダウンロードしてみてください。

 

いますぐ読まなくても、いつか気が向いたら読んでみようくらいの気持ちでどうぞ。

 

読んだらぜひ一言でも、あるいは無言星評価でも構いませんので、レビューいただけると大変励みになります。

 

無料キャンペーン以後は有料になりますが、Kindle Unlimited加入者はいつでも無料で読めます。

 

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1ヶ月無料体験で500万冊読み放題になりますので、ぜひお試しを。

 

冒頭部分サンプル

この物語はプロローグ的な部分はないので、いきなり物語が始まります。

サンプル(無料)では、もう少し長く読めます。

 

サンプルの冒頭部分の一部をどうぞ。

 

第一話 『IT社長と命のグラウンディング』

第一章 最新ギアとボロボロの男

 

夕暮れの色が、山の稜線から滲むように広がっていく。

四国の山道は、日が落ちるのが早い。

ついさっきまで頭上に見えていた青空。

その青が、今はもう茜色に染まっている。

その茜色さえも、刻一刻と紫がかった藍色に呑み込まれていく。

杉の梢が、風に鳴った。

遍路宿「谷口屋」の軒先。

吊るされた提灯に、善三がちょうど火を入れたところだった。

黄色い灯りが揺れる。

土間の板張りに、ぼんやりとした影を落とす。

長年使い込まれた木の柱や梁。

そこから、ほのかに煙と饐えたような匂いが漂っていた。

何十年もの間、囲炉裏の煙が染み込んだ木の匂い。

その奥に、鍋からふわりと湯気が立ちのぼる。

出汁の香りが重なった。

今日の夕餉は、善三が朝から仕込んだ根菜の煮しめ。

それから、川で獲れた小魚の甘露煮だ。

「今日も、あと何人来られるかね」

善三は独り言のようにつぶやいた。

囲炉裏にくべた薪の位置を、そっと直す。

土間には、今日の泊まり客の金剛杖が二本。

行儀よく立てかけられている。

窓の外では、日暮れとともに気温がぐっと下がり始めていた。

山特有の、ひんやりとした空気。

それが、戸の隙間からするりと忍び込んでくる。

そのとき――。

 

    *

 

「た、頼む……誰か……」

ガタン、ガラガラガラッ!

引き戸が乱暴に開いた。

悲鳴のような音とともに、一人の男が土間に崩れ落ちてきた。

「うわっ! お客さん!?」

善三が飛び上がって駆け寄る。

倒れ込んだ男の姿は、正直なところ、あまりに奇妙だった。

全身は、最新のアウトドアギアで固められている。

撥水性を帯びてテラテラと光る高機能ジャケット。

都会の展示会にでも並んでいそうな、洗練されたデザインだ。

袖口には、見たこともない小さなロゴが控えめに刺繍されている。

下は、筋肉のラインを美しく見せる機能性タイツ。

その上に、泥ひとつついていない真新しいショートパンツを重ねていた。

背負っているリュックは、フレームの継ぎ目まで滑らかに整えられた超軽量モデル。

側面には、水分補給用のチューブ。

さらに、GPSアンテナらしき突起までついている。

足元は、見るからに高価そうなトレッキングシューズ。

靴紐の結び目ひとつとっても、隙がない。

まるで、雑誌の撮影用に組まれたモデルのようだった。

腕には、黒く光るスマートウォッチ。

文字盤には、びっしりと数字とグラフが表示されている。

鼻の上には、薄型のスマートグラスが今にも滑り落ちそうになっていた。

レンズの端で、小さな緑色のランプが点滅を繰り返している。

まるで、登山用品のカタログからそのまま抜け出てきたような格好。

あるいは、近未来の映画に出てくる特殊部隊員のような出で立ちだ。

なのに――顔だけが、真っ白だった。

唇は色を失い、額には脂汗がびっしり浮いている。

土間に投げ出された両脚。

力の入れどころを見失った操り人形のように、ガクガクと小刻みに震え続けていた。

「だ、大丈夫ですか! おい、しっかりしてください!」

善三は男の背中を支える。

慌てて、上がり框に座らせようとした。

しかし男の脚は、まったく力が入らない。

二度、三度と、その場に頽れる。

「立てますか? 立てないなら、無理せんでください」

「た……立て、ます……」

「いや、立ってない。今、完全に崩れてます」

「大丈夫、です……ちょっと、休めば……」

「休むならまず横になった方が……お客さん、聞いてます? 目、開いてますか?」

「開いて……ます……多分……」

「多分じゃ困るんですが」

そんな噛み合わないやり取りが続く。

どうにか、男を上がり框に腰掛けさせた善三。

男の呼吸は浅く、速い。

まるで、全力疾走を終えた直後のようだった。

「安藤……翔太……です……焼山寺への……あの上りで……もう……」

かすれた声で名乗った男――安藤。

右手首のスマートウォッチに、ちらりと視線をやった。

その画面が、ピピピピ、ピピピピ、と甲高い電子音を鳴らし始める。

「な、なんですかその音、故障ですか?」

「故障じゃ、ない……アラート、です……心拍数の……」

「心拍数のアラート? それ、鳴らないといけないやつなんですか」

「鳴っちゃ、いけない、やつです……」

「じゃあ止めた方がいいのでは」

「止め方が……わからな……いや、そもそも、止まる状況じゃ……」

「意味がわかりません。お客さん、もう少し落ち着いて話してもらえますか」

「落ち着いてる、つもりなんですけど……」

「その顔で言われても、説得力ないですよ」

押し問答が続く。

電子音は、ピピピピと鳴り続けていた。

安藤の額の汗が、ますます増えていく。

善三はとりあえず、濡れタオルを取りに台所へ走った。

戻ってくると、それを安藤の首筋に当てる。

「氷嚢も持ってきますから、少し待っててください」

「氷嚢、そんな大げさな……俺、大丈夫、なんで……」

「今のあなたを見て大丈夫と思う人間、この宿にはいませんよ」

「そう、ですかね……」

「そうです。ちょっと待っててください。今、冷やすもの取ってきますから」

善三が、慌てて台所へ駆け込む。

濡れタオルと氷を追加で手に、戻ってきた。

安藤の膨れ上がったふくらはぎに、それを当てる。

男は、うっすらと目を開けた。

「社長の……俺が……こんなところで……」

「社長さんなんですか、あなた」

「IT企業……経営して……います……今回は……完走して……本の……宣伝に……」

言葉は途切れ途切れ。

もはや半分は、独り言のようだった。

スマートグラスの端で、小さな通知ランプが点滅を続けている。

まるで、彼の焦りをそのまま映し出しているようだった。

善三はその点滅を横目で見ながら、ふと胃のあたりに嫌な予感を覚えた。

長年、女将の奇行を見てきた勘。

何か、面倒なことが始まる予感である。

「ダメだ……このアラートが……鳴りやまない……もう……ダメだ……」

そう呟いた瞬間。

安藤の瞼が、ゆっくりと閉じた。

首が、ガクリと力なく傾ぐ。

「安藤さん! 安藤さーん!」

善三が声をかけても、反応はない。

ただ、寝息にも似た荒い呼吸だけが、土間の静けさの中に響いていた。

窓の外は、すっかり日が暮れている。

囲炉裏の炎の赤い光だけが、倒れた安藤の白い顔をぼんやりと照らしていた。

――ひどい貧血と、極度の筋疲労。

それだけのことだった。

だが善三がそれに気づくのは、もう少し後の話である。

「お、おい、お梅! お梅、大変だ! お客さんが倒れた!」

善三の叫び声に、奥の暖簾がバサリと揺れた。

「なんやてぇ!?」

 

この後、主人公のお梅女将が登場します。

 

気になる人はぜひ読んでみてください。サンプルもこの先もう少し無料でダウンロードできます。

 

以下のリンクからどうぞ。

 

 

 

次回作はミステリー

さて、八作目となるお遍路小説ですが、次作はミステリーです。

 

ミステリーとしては二作目。

 

一作目の新谷誠一郎シリーズの続編でもあります。

 

当初は新谷誠一郎は登場させず、全く別の主人公にしようかと思っていましたが、内容を煮詰めていくうちにこれは新谷シリーズにしちゃおうと思いました。

 

一作目の舞台は徳島県でしたが、二作目は高知県を予定。

 

発売予定時期は8月中旬です。

 

なお、九作目はコージーミステリーを予定しています。そして十作目は、新谷誠一郎シリーズではない、長編ミステリーの予定。(順番は変わるかも)

 

当初から十冊出すことを目標にしていましたので、とりあえず予定はここまで。

 

その後は、しばらくは販促を頑張ってみます。

 

未定ではありますが、十一作目以降は、四国八十八ヶ所やお遍路が舞台ではない作品にしようと思っています。

 

例えば、台湾を舞台にした物語など。

 

なので、このブログでは告知はしませんが、興味ある方はAmazonで私をフォローして新着情報をチェックしてみてください。

 

お梅女将の大暴走!四国遍路宿の珍客お接待まとめ

お梅女将とご主人の善三さん+宿泊客という構図の短編連作なので、読みやすいと思います。

 

コメディ小説なので、お遍路未経験の人でも楽しめます。

 

一人でも多くの方に読んでいただけると嬉しいです。

 

なお、私の四国八十八ヶ所関連の書籍は下記にまとめましたので、興味のある人はどうぞ。

 

shikoku88.hatenablog.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お遍路恋愛小説第2弾「結願の朝にあなたと」kindleで販売中

「結願の日、君を好きになる」に続くお遍路恋愛小説第2弾ができました。

 

続編ではありません。全く別の新しいお話です。

 

結願の朝にあなたと

結願の朝にあなたと | お遍路恋愛小説

 

kindleで10作の小説を出すというのが、私の当面の目標ですが、できるだけ色々なジャンルの小説を出したいと思っていました。

 

既に一冊恋愛小説「結願の日、君を好きになる」を出しており、恋愛小説はこの一冊のみとする予定でした。

 

実は以前から、「結願の日、君を好きなる」と今作「結願の朝にあなたと」の構想は両方ありました。

 

どっちにしようかと考えた末、「結願の日、君を好きになる」を優先したのは、こちらの方が重くはなく、軽いノリで楽しく話が進んでいくこともあり、一般受けしやすいと思ったためです。

 

今回の「結願の日にあなたと」は、設定がやや重い話。ある理由で別れた男女がお遍路で偶然再会し、共に歩いていくという内容です。この話も捨て難く、結局こちらもkindleで出す運びとなったわけです。

 

できることなら、両方読んでいただくと、作者としては嬉しい限りです。

 

無料キャンペーン開催します

 

Amazon.co.jp: 結願の朝にあなたと: お遍路1200キロが繋いだ、別れたふたりの再生の恋 eBook

 

Kindleの電子書籍のみ。通常価格は280円(税込)です。

 

今回も期間限定で無料キャンペーンを開催します。

 

期間中は、無料でダウンロード可能ですので、少しでも興味がおありでしたら、どなたでも遠慮なくどうぞ。

 

期間は、2026年8月4日(火)16:00から48時間限定です。

 

そして、この物語が気に入っていただけたなら、一言でも良いのでレビュー書いてくれると嬉しいです。あるいは無言星評価だけでも。

 

私のような無名作家は、商業作家のように名前で売れるわけではありません。

 

皆様からの評価が重要な指標となります。ぜひよろしくお願いします。

 

また、Kindle Unlimitedに加入すると、私の本を含め、500万冊が読み放題になります。

 

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980円/月ですが、初月は無料。つまり1ヶ月以内に解約すれば、事実上無料です。

 

冒頭部分サンプル

サンプルはもう少し長い部分を無料でダウンロードすることができます。

 

ここでは、雰囲気だけ。

 

序 プロローグ

 

 金剛杖は、思っていたより軽かった。

 玄関先に立てかけたそれを、灯里は何度も持ち替えてみる。

 白衣は畳んだままビニール袋に入れて、リュックの一番上に置いた。

 輪袈裟。

 納経帳。

 経本。

 ひとつひとつを買い揃えた遍路用品店で、店員に聞かれた。

「霊山寺から始められるんですか?」

「はい」

 それだけしか、答えられなかった。

 それ以上、何をどう説明すればいいのか、自分でもわからなかった。

 仕事の引き継ぎは、思ったよりすんなり片付いた。担当していた著者たちには「体調を整えるために少し休みます」とだけ伝えた。

 噓ではない。

 心療内科の医師にはこう言われた。

「休職というより、体を動かして、頭を空っぽにする時間を作ってください」

 空っぽになれるかどうかは、正直わからなかった。

 不安がないと言えば、嘘になる。

 四十日か、五十日か。歩いてみなければわからない。

 天候が崩れれば、足止めを食らうこともあるだろう。

 山越えの難所で怪我をする遍路も少なくないと、事前に読んだ体験記には書いてあった。

 毎日、何時間も歩き続けられるのか。

 膝や足首が悲鳴を上げたとき、それでも歩き続ける気力が保てるのか。

 編集者としてデスクワークばかりしてきた自分の体が、そんな旅に耐えられるのか。

 灯里には、正直、まるで自信がなかった。

 それでも。

 行かなければならないという気持ちだけは、揺るがなかった。

 リュックのポケットに、小さな写真を一枚だけ入れた。

 誰にも見せるつもりのない写真だった。

 それを入れるとき、指先が少しだけ震えた。

 灯里はその震えに、気づかないふりをした。

 ジッパーを閉める。

 

     *

 

 朝、目覚ましより先に目が覚めた。

 カーテンの隙間から差し込む光は、もう春のものだった。

 今日から一番札所、霊山寺へ向かう。

 長い、と人には言われた。

 けれど灯里には、それでも足りないかもしれないという気持ちがあった。

 三年という時間があっても、まだ終わらせられていないことがある。

 誰にも打ち明けていない、灯里だけが知っている宿題のようなものが。

 この道を歩き終える頃には、それに向き合う覚悟ができているだろうか。

 それとも。

 八十八ヶ所を巡り終えてもなお、目を逸らし続けているだろうか。

 灯里自身にも、まだわからなかった。

 玄関のドアを開ける前に、もう一度リュックを背負い直す。

 重さは、想像していたよりずっと確かだった。それが、少しだけ心強かった。

 ――行ってきます。

 誰もいない部屋に向かって、灯里は小さくそう呟いた。

 まだ誰も、この旅の先に何が待っているかを知らない。

 四国は四つの県からなる巡礼の道で、それぞれの区切りに「道場」という名がついているのだと、ガイドブックで読んだ。

 徳島は「発心の道場」。

 何かを新しく始めるための場所だという。

 けれど灯里が今日踏み出そうとしているのは、始まりというより。

 ずっと先延ばしにしてきた終わりに向かう、最初の一歩だった。

 

(第一部第一章に続く)

この後、第一章も灯里の視点。第二章は陸の視点。交互に視点を変えながら物語を進めていきます。

 

 

「結願の朝にあなたと」まとめ

同行二人とは、遍路中、お大師様と共にいるという意味です。

 

しかし、お大師様だけではなく、あなたに取って大切な人だったら、という想像を基に幾つかの本を出しましたが、この本もその一つです。

 

灯里と陸が四国を歩きながら、どういうふうに心情が変化していくのかを読んでもらえると、読み応えを感じてもらえるかな、と思います。

 

さて、今回のこの本がKindle小説6作目。目標の10作まで残り4作となりました。

 

一冊でも読んでいただいた方、ありがとうございます。

 

現在までの人気ベスト3は下記です。

 

無料ダウンロードをしてくれた方、定価で購入された方、Kindle Unlimitedで読んでいただいた方の反応です。

 

  1.  同行、二十八度
  2.  結願の日、君を好きになる
  3. 孤独のリュック、希望の金剛杖

 

私としても今のところ一番の自信作が「同行、二十八度」なので、これは嬉しいです。

 

とは言っても、全体的にまだまだで、印税なんて雀の涙。一人でも多くの人に読んでもらえるよう努力しつつ、十冊目標に頑張ります。

 

私の他の本も読んでみたいという人は下記をチェックしてみてください。

 

shikoku88.hatenablog.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初のお遍路ホラーできました | 四国、八十九番目の札所

ジャンルを変えつつ、Kinldeで小説を出してきましたが、初めてホラー小説ができました。

 

四国、八十九番目の札所: 同行二人、二人目は誰そ

 

小説読むのは好きですが、実はホラー小説ってあまり読んだ記憶がないんですよね。

 

なので、実際の話、このレベルの内容で、本当に怖いのかどうか不安もかなりあります。

 

ある意味、今までで一番自信がない小説ですが、まずはKindleで出してみようと思いました。

 

評判が悪ければ、削除すれば良いだけなので、当面販売します。

 

四国、八十九番目の札所 | お遍路ホラー小説

Amazon.co.jp: 四国、八十九番目の札所: 同行二人、二人目は誰そ eBook

 

主人公は登録者12万人のYouTuber悠真。

 

ネットで拾った八十九番目の札所について調べるために、カメラマン涼太と共に四国へ。

 

しかし、悠真は話題性を追求することと同時に、3年前にお遍路中に謎の死を遂げた双子の兄についての探索が真の目的。

 

ネット配信を通じて怪異が頻発するなか、涼太が失踪。その後を追う悠真は・・・。

 

と言う感じの内容。もう少し詳しい内容は上記のリンク先にあります。

 

約37,000字なので、読みやすい長さです。

 

無料キャンペーン開催

今回も無料キャンペーンを開催しますので、どなたでもどうぞ。

 

期間は2026年7月28日(火)16:00から48時間です。

 

定価は280円。

 

Kindle Unlimitedに加入すると最初の1ヶ月は無料です。1ヶ月以内に解約すれば、無料で500万冊が読み放題になります。

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冒頭部分を紹介します

今回も冒頭部分だけ紹介します。サンプル(無料)はもう少し長く読めます。

 

第一章 白い着物のもう一人

 

(三年前)

 

山狩りが打ち切られようとした、その日の夕刻だった。

 

八番札所から獣道を一時間ほど分け入った斜面で、捜索隊の一人が倒れている人影を見つけた。地元の遍路経験者で編成された民間の捜索隊、その中でも最年長にあたる六十代の男が、無線機を握ったまま怒鳴るような声を上げた。

 

「おった、おったぞ!ここや!」

 

倒れていたのは、三日前から捜索願が出されていた行方不明者、田村某、七十代後半の男だった。単独で遍路巡礼中に連絡が取れなくなり、家族からの届け出を受けて山狩りが行われていた。白衣に金剛杖という正式な遍路姿のまま、斜面に横たわっていた。

 

田村は生きていた。だが、生きていたというだけだった。

 

体温はかろうじて平熱を保っていたものの、両足の裏は靴擦れと土でひどい状態になっており、目立った外傷は他になかった。それにもかかわらず、彼は搬送のためにストレッチャーへ乗せられる間、ずっと体を硬直させ、抵抗とも呼べない微かな震えを繰り返していた。

 

「一人やない……」

 

救急隊員の一人が、その呟きを聞き取っている。田村は虚空を見つめたまま、同じ言葉を何度も繰り返した。

 

「一人やない。白い着物のもう一人と、ずっと一緒に歩いとった」

 

搬送先の病院で応対した医師は、これを高齢者の錯乱、あるいは長時間の山中彷徨による脱水症状に伴う一時的なせん妄と診断した。カルテには「見当識障害、詳細不明」とだけ記録されている。それ以上の追及は、少なくとも医療の領分では行われなかった。

 

現場に居合わせた地元警察官の証言によれば、田村が発見された地点の周囲、直径にしておよそ三メートルほどの範囲に、白い紙片が幾枚も落ちていたという。

 

拾い上げてみると、それは遍路が札所に納める「納札」だった。ただし、そのすべてが白紙のままだった。名前も、住所も、願意も、何一つ書き込まれていない。真新しいというわけでもなく、かといって古びているわけでもない、ただの白い紙の束が、風の吹いていない斜面に、まるで誰かの手でそこに撒かれたかのように広がっていた。

 

「納札言うたら、普通は名前も願いも書いて、大事に持って歩くもんじゃ。こがいに白紙のまま、何十枚も地面に落としとるなんて、聞いたことがない」

 

捜索隊の一人がそう言って、他の隊員たちと顔を見合わせたことが、後年になって地元でわずかに語り継がれることになる。もっとも、この時点ではそれ以上の意味を誰も見出さなかった。田村の発見をもって捜索は無事終了とされ、事件は「行方不明の遍路、三日ぶりに無事保護」という結果とともに、静かに人の記憶から遠のいていくはずだった。

 

田村自身は、その後の聴取に対してほとんど有効な証言を残さなかった。「誰と一緒に歩いていたのか」という問いに、彼はただ同じ答えしか返さなかったという。

 

「白い着物の、もう一人。ずっと後ろにおった。振り向いたら、あかん気がして」

 

それ以上のことは、何一つ語られなかった。

 

---

 

数日後、地元紙の片隅に、小さな記事が載った。

 

見出しは「四国遍路の男性、山中で死亡」。八番札所からさらに離れた別の山域で、遍路装束の男性の遺体が発見されたという内容だった。氏名は早瀬海人(はやせ・かいと)、二十四歳。単独で四国八十八ヶ所巡礼中であったと見られ、死因は転落による事故死と発表されている。記事は数行で終わっており、発見時の状況について、詳細な言及はなかった。

 

田村が保護された事案と、この報道との間に何らかの関連があるかどうかについて、当時、警察が公式に言及した記録は存在しない。

 

この二つの出来事が、後にどう結びついていくのか――それを知る者は、この時点ではまだ誰もいなかった。

 

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(現在へ)

この冒頭部分を含むサンプルは無料でダウンロードできます。

 

気になる人は下記からどうぞ。

 

 

 

お遍路ホラー小説まとめ

とりあえず小説10作出す目標ですが、現在5作。

 

9月か10月には出せそうです。

 

例えば、前作の「結願の日、君を好きになる: 四国八十八ヶ所を歩いて見つけた、人生と恋の答え」は21万文字(文庫本二冊分)もあるので、作成に1ヶ月かかりました。

 

こう言うのをまた作るとあるいは10月になってしまう可能性もありますが、年内目標はクリアできそう。

 

そして10作の反応を見て、今後どういうジャンルを多くしていくかを考えようと思います。

 

さて、次作は2作目となる恋愛小説の予定です。

 

前作の続編とかではなく、新たな物語で、もちろん設定も全く違います。

 

お遍路×恋愛小説というのは、プロの作家さんも書いている人はいるのかもしれません(未確認)が、なかなか良い組み合わせです。

 

前作は結構自信作にもなったので、もう一つある構想(最初はこの構想で出そうと思っていた内容)で、作成してみる予定です。

 

文字数は10万文字前後を予定。

 

私の他の本も読んでみたいという奇特な方は、下記を参考にしてください。

 

shikoku88.hatenablog.jp