色んな人から質問をもらいました
歩き遍路を終えてから、会う人やSNSで色んな質問をいただきました。ここではそれに答えてみたいと思います。
これから歩き遍路をする人に参考になれば嬉しいです。
「一番辛かったことは何ですか?」
歩き遍路は辛く厳しいものです。でも、とても楽しかったという気持ちです。辛いことはたくさんありますが、一番となると考えますね。
お遍路中、私は何度か怪我をしてしまいましたが、一番大きな怪我をした時が一番辛かったかもしれません。
それは金剛福寺をお参りした後の山道の下り道。枯葉で道がどうなっているのかわからず、階段のところで転んでしまい、左腕に大きな怪我をしてしまいまいした。しかも流血が結構あって、なかなか血が止まらず難儀しました。
山を下ってから入った飲食店のトイレで血を流しましたがそれでも血は止まらず、すぐには癒えず、これが結構辛かったですね。
ちなみにその傷は今も腕に残っています。
遍路を通して辛かったことは雨と山ですね。これが両方重なると厳しかったです。特に雨は嫌でしたね。遍路の厳しさを味わいました。
歩く辛さに関しては私の場合は遍路を開始して1週間後くらいが疲れが溜まりました。その後は慣れてきたのか宿で寝れば翌朝には元気という感じでした。
「遍路宿は何日前に予約するものですか?」
私は当日、前日に予約することもありましたが、基本的には3日くらい前に予約していました。
これはいつ予約すれば良いというルールは特にないですね。いろんな要素が絡みます。遍路宿の混雑する時期や天候、その地域に遍路宿がどのくらいあるのかなど総合的に判断するしかないです。
お遍路さんは春や秋に多いです。当然混雑もするので早めに予約しないと希望の宿は満室なんていうこともあります。また直前の天気が悪い場合、歩く距離も短めになることがあるので、それを勘案した無理のない計画作りも必要。天気予報は毎日確認。
また、地域によってですが周辺に遍路宿がたくさんあるのなら、直前予約でどこかの宿を確保できると思いますが、周辺に1軒しかないような場所は早めに予約しておくべきでしょう。
土日祝日、大型連休などが絡む場合は、場所によっては宿が混雑します。例えば高知県の海沿いの宿はサーファーも多く宿泊します。観光地には観光客も来ます。
あまり早く1週間以上先の遍路宿を予約していても、その途中何があるかわかりません。計画が変わって宿に宿泊できなくなれば宿に迷惑もかけてしまいます。
などなど色んな要素を勘案しながら遍路宿の予約をしましょう。事前に候補となる遍路宿の情報を整理しておいて目星を付けておくと楽です。
「職業遍路について教えてください」
職業遍路(草遍路、辺土などとも呼ばれます)とは遍路としてずっと四国八十八ヶ所を巡拝し続けている人たちのことです。何年も何十年もやっている人もいます。もちろん野宿です。
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職業遍路と呼ばれる人たちの中にも色んな人たちがいるようです。純粋にお坊さんの資格を持ち修行をしている人、自分の犯した罪の贖罪のために歩く人、他の地ではホームレスと呼ばれるレベルの人、四国八十八ヶ所が好きすぎてハマってしまった人など。
これらを私たちが見分ける術はありません。
一般のお遍路さんと見分けが付かないこともあるかもしれませんが、格好で何と無く「ああ、職業遍路さんだろうな」と分かる程度です。
幸月事件というのを聞いたことがあるかもしれません。殺人未遂事件を起こした幸月は職業遍路となって何年もお遍路を続けます。その様子がテレビでインタビューされ放映されたことで逮捕に至ったというものです。
また、外国人英語教師の殺人事件容疑者として指名手配されていた市橋達也も長い逃亡生活の中でお遍路をしていたそうです。
そんな人も中にはいますが、一部だろうと思います。
四国を歩いていると職業遍路さんらしき人をちらほら見かけます。私がまともに会話したのは一人だけでしたが、その人はちょっと変わってはいたけど、まともそうな人でしたね。
四国は道端や川沿い、山道、雑木林などに無造作に柑橘類や琵琶などが木からぶら下がっていたりします。知識があれば山菜なども取れるでしょう。こういうのを食べたり、托鉢したり、お接待を受けたりして生活しているようです。
歩き遍路をしていると必ずこういった人たちを見かけることでしょう。それを見守るだけにするか、あえて積極的に話してみるかはあなたの自由です。
何しろ彼らは長年やっているだけあって、ものすごく詳しい情報を持っています。特に野宿派の人には参考になる話が聞けるかもしれませんよ。
「困ったことは何ですか?」
一番想定外で困ったことは、上の辛かったことと少し被りますが雨です。
本当は平年並みだと何とか梅雨入り前に結願できそうだと思っていましたが、想定外の史上最速の梅雨入りになってしまいました。
おかけで雨の日が多いのは困りました。雨具を身につけるだけでもかなり面倒で、ひどい雨の日は靴の中までびしょ濡れになります。
それらを乾かすこともしなくてはならず、大変でした。そして当然ながら歩いていても足は重く、景色も悪く、気分は良くないです。
びしょ濡れの状態だと気軽に飲食店やコンビニに入ることすら躊躇うことになり、本当に良いことはないですね。
私が遍路をしていた時期はコロナ禍にあり、四国でも愛媛県は蔓延防止等重点措置となっていたり、東京都でも途中から緊急事態宣言になっていたりした頃です。
そんな時期だったこともあり、遍路宿や宿坊も休業していたり、営業はしていても宿泊人数制限をしていたりして、そのおかげで予定していた遍路宿に泊まれなかったり、歩く距離が長くなったり短くなったりしました。
結局は調整して何とかなりましたが、少し困りましたね。
「楽しかったことは何ですか?」
上述した辛かったこと、苦しかったこと以外は全て楽しかったです。都会で生まれ育ち、普段もビルやマンションが立ち並ぶようなところで生活している私にとって、常に山が見えて、時には海や川が目前にあるという、しかも歩いていて毎日変わる四国の景色はずっと新鮮で毎日楽しめました。
それに今まで来たことのない場所を毎日歩いていたので、毎日何か発見があり、飽きませんでした。東京にいると道端に蛇がいたり、猿が目の前を横切ったり、訳のわからない見たことのない虫を発見したり、波の音で目覚めたり、カエルの大合唱で眠りについたりすることもありません。
その土地の美味しい名物料理や食べ物を食べたり、お寺の人、遍路宿の人、他のお遍路さん、地元の人、お接待してくれた人、SNSをきっかけに私たちに会いに来てくれた人、多くの人たちとの出会いもまた新鮮でとても楽しいものでした。
苦労もありましたし、時間もお金も労力も消費しますが、それ以上に楽しく、一生忘れられない思い出です。歩き遍路をして本当に良かったと思います。
「時期はいつ行くのが良いですか?」
当然ですが真夏と真冬はお勧めしません。暑いのに慣れている人や長期休暇が取れる学生などは真夏に行く人もいるようですが、かなり大変だと思います。
冬は山間部などは雪が積もることもありますので、危険度も増します。防寒のため荷物も増えるので夏以上におすすめしません。特に野宿は危険。
ただ夏と冬のメリットは宿の予約が取りやすいことです。お遍路さんが少ないので当然です。
で、多くの人は春と秋に行きます。気温もちょうど良く歩きやすいと思います。
春と秋どちらが良いかというと、春ですね。太陽の出ている時間が長いからです。
例として高知県の日の出、日の入り時間を見てみましょう。
高知県日の出
- 5月1日 5時18分
- 11月1日 6時25分
高知県日の入り
- 5月1日 18時50分
- 11月1日 17時15分
春の方が日の出が早く、また日の入りも遅いです。それだけ活動できる時間が長くなります。秋のお遍路は日没を気にしながら歩くことになりそうです。
しかし秋は秋で山の紅葉も見ることができ、新緑の時期とは違う楽しさもあるでしょう。
とにかく余程自信がある人以外は夏と冬は避けて、春か秋の時期に歩き遍路をした方が良いと思います。
「1日のルーティンを教えてください」
お遍路中のだいたいのルーティンは以下のような感じでした。
- 4:00 起床。荷物をまとめておく。ツイッターの返事を書く
- 5:00 昨夜ざっと書いたブログ(このブログ)の加筆訂正、校正をしてアップロード。その後、本日のルート、計画を再確認
- 6:00 遍路宿で朝食
- 7:00 出発
- 9:00 札所に到着。参拝、納経後ジムを潰す
- 11:00 通りかかったラーメン屋でランチ
- 12:00 山登り、峠越えしながらジムを潰す
- 14:00 札所に到着。参拝、納経後ジムを潰す
- 15:00 遍路宿に到着
- 16:00 洗濯、風呂
- 17:00 天気予報を3つくらい確認して翌日以降のルート、計画を考える。3日後の遍路宿を電話で予約
- 18:00 遍路宿で夕食
- 19:00 その日のブログを書く
- 21:00 就寝
だいたいこんな感じですね。早寝早起きで規則正しい生活でした。
実際はポケ活をもっとしてますから、道中ジムがあれは可能な限り潰して自分のポケモンを配置しています。
休憩やトイレはそれがてきる場所があれば随時。
ランチは事前にチェックしていたところで食べることもありますが、だいたいお昼前にルート上に何か飲食店があるか確認して決めます。ない場合はコンビニなどで事前に何か買っておいて食べます。
遍路宿への到着は15:00を目指して歩いていました。余裕のある時は休憩を多く取ったり、ポケモンしたり。
でも実際は16:00、17:00を過ぎてしまうこともありますし、もっと早く到着することもあります。その時の天候や峠の厳しさによっても歩くスピードは変わりますので臨機応変に。
ブログは基本的にその日の内にざっと書いておいて、翌朝もう一度見直してから公開していました。
だいたいこんな感じですね。宿に到着してからも結構忙しいです。そんなにゆっくりのんびりというわけにはいかないです。
最初の内は疲れは溜まりますが徐々に身体が慣れてきました。
「何でお遍路なんて始めたの?」
元々歩くことが好きだったのと、神社仏閣巡りが好きだったというのが素地にあります。
東京の神社仏閣を歩いていると「御府内八十八ヶ所霊場」とか「南葛八十八ヶ所霊場」とかいう寺院があったりしました。
その時思ったのです。「いつか本当の四国八十八ヶ所を歩きたい」と。
色々あってチャンスがあったので、行ってみたというわけです。
特に精神修行だったり、贖罪だったり、誰かの供養というものではなく、観光気分がほとんどでした。一生に一度は行きたいと思っていたので大満足です。
「お遍路っていくらくらいかかるの?」
歩き遍路の場合、1人1日10000円が目安と言われています。宿泊料金や飲食代、納経代などですね。
野宿や通夜堂、善根宿などを活用すれば宿泊料金はもっと安く済むでしょう。
私の場合は遍路宿に宿泊することを前提にしたものです。結願まで54日かかったので54万円くらいかかっているものと思いますが、ちゃんと計算してないので不明です。
妻と一緒にお遍路したので100万円以上は少なくてもかかっているものと思われます。
「女性は少ないの?」
歩き遍路している人には女性もいますが少ないです。10%もいないかもしれません。車やバスツアーは女性もたくさんいましたね。
男性が90%として、その年齢層の正確な分布はわかりませんが、半数以上は60歳以上で定年退職後に歩き始めた人です。
若い人も結構いて20代、30代の人と結構会いました。40代くらいが一番少ない気がします。
女性1人の歩き遍路は危険な場合もあるので、友達や旦那と一緒に歩くことをおすすめします。もしくは最低限遍路宿に宿泊すること。野宿などは危険です。
「参拝方法を短縮したりしてお坊さんから怒られない?」
札所によっては納経所から私の参拝が見えるようなところもあったと思いますが、もちろん何も言われません。
最低限のことはしているので、私も特に気にしたことはないです。
これは個人の気持ちの問題なので、ちゃんとお経を全部唱えたい人はそうすべきと思います。ロウソクや線香も同様。
まとめ
他にも誰かから何か質問されたことがあったかもしれませんが、今思い出せるのはこのくらいです。
これ以外の質問があれば下のコメント欄でも良いですし、ツイッター(下にあります)でも良いので質問いただければわかる範囲内でお答えします。いつでもどうぞ。
歩き遍路なんてほとんどの人はやったことがないはずで、私もそうでしたが最初は色々と不安や心配事があると思います。
そんな状況でも実際歩き始めれば何とかなるとは思いますが、心配事を少しでも解決しておきたいという人もいると思います。
遠慮なく質問してください。四国八十八ヶ所遍路大使として誰かの役に立ちたいです。
最初で最後のつもりでお遍路をやりましたし、結願後ももうやることはないだろうと思っていましたが、最近になって色々思い出されることもあり、またいつか歩いてみたいなと思うようになりました。
2周目にチャレンジするとしたら5年後10年後というのは考えにくいです。私も妻も若くはないので、体力もどんどん低下していきます。なのでもしやるとしたら3年以内くらいが目安かな。チャンスがあればですが。
その前に小豆島八十八ヶ所に一度行ってみようかと思っています。これは1週間くらいで結願できそうなので。しかも秘境ジムもありそうなので(ポケモンGO)。
チャンスがあればまた四国八十八ヶ所にチャレンジするかもしれません。今度は別格二十霊場も一緒に回って108ヶ所巡拝にチャレンジにしようと漠然と思ってます。
その時が来たらまたこのブログでお知らせします。
→ 歩き遍路日記を最初から読みたい人はこちら【歩き遍路1日目】
---お知らせ---
3冊目の遍路本を出版しました。
この本は用語集ではありません。遍路の作法や基礎知識を教えるガイドブックでもありません。実際に歩き遍路をするときに知っていると便利で安心なちょっとしたコツをまとめています。
初めて歩き遍路に行く人に最適な内容ですので、是非読んでみてください。
質問など何かありましたらご連絡ください。
四国八十八ヶ所遍路大使